photo by www.bikemag
TRIGGER27.5の中でDYAD以外にも調整が必要なアイテムがある。
それが【LEFTY SUPERMAX】だ。
LEFTYといえばキャノンデールの代名詞的存在のMTBアイテムでその歴史はすでに10年以上になる。
バイクの左側だけにフォークがくるからLEFTY。
よくRIGHTYはないのか?と聞かれるが市販モデルでは存在していない。
毎年マイナーチャンジを重ね、その進化を毎年のように感じ、確かな進化をこの身体で感じ取ってきた。
その中で110mm以上のLEFTYシリーズ、SUPERMAXシリーズは近年ものすごいスピードで進化を続け、今回乗っているTRIGGER27.5にも最新版のSUPERMAXが取り付けられている。
さて、新型のSUPERMAXについて書いていこう。
まずは構造から。
キャノンデールがよく使う図を用いて説明しよう。
左が一般的なサスペンションで、右側がLEFTYの構造図。
LEFTYは【強い】とよく説明されるが、この図をみるとわかりやすい。
一般的なサスペンションはヘッド下を起点に2つに分かれ1つの構造体としているが、LEFTYはヘッドを挟むカタチで一本の筒を支えている。
丸い筒が各方向からの衝撃に強いことは小学校の理科の授業などで習ったけど、その特性を活かした構造になっている。
またストレスのかかる部分を一点集中にしないことで構造体としての剛性を上げることに成功している。
体重の軽いライダーがLEFTYに乗った時に【LEFTYの使用感が硬い】と感じるのはこの構造が大きく関係していると推測する。
一般的なサスペンションは構造体自体がしなることで適度な硬さを生み出しているのだと思う。
あれ?それじゃ、体重の軽いライダーにはLEFTYは不向きなの?って感じてしまうかもしれない。
この件に関しては後ほど。
今はLEFTYの構造が【強い】ということを知ってもらいたいがための話。
写真でみるとこんな感じになる。
ヘッドを挟むようにLEFTYが取り付けられている。(すべてのLEFTYは同じ構造でバイクに取り付けられている)
そして、ヘッドの中を貫通する形で『ステ管』が下から挿入されている。
その『ステ管』にステムが取り付けられハンドル周りが完成する。
だいたいの構造を理解して頂けただろうか?
新型のSUPERMAXは背の小さな日本人ライダーに嬉しい配慮が施されている。
それは、これまではヘッドの長さは各サイズ共通で背の小さなライダーにはハンドル位置が高くなってしまう傾向があった。
しかし、今回の新型SUPERMAXはフレームサイズに合わせてヘッド長が変わり、そのヘッド長専用のSUPERMAXが取り付けられるようになったのだ。
そのため、どんな身長のライダーにも適切な乗車ポジションが作り出しやすくなり、これまであった「不満」を解消することができている。
少し話はズレるが、NEW TRIGGER27.5は従来のモデルよりも同サイズでトップチューブ長を長くし、より短いステムを取り付けられるように設計されている。
より直進安定性を強くし、ハンドリングをクイックに、機敏に走れるように工夫がされているのである。
最短で50mmステムまでの装着が可能だ。
構造がわかったら、このSUPERMAXの使用感についてのお話。
まず、今回発表されたLEFTYシリーズはそれぞれが走るシーン合わせてダンパーチューンがされているのが特徴である。
XC(クロスカントリー)、速さを求める走りが多いバイクには【XCチューン】
トレイルライドがメインのバイクには【トレイルチューン】
下りがメインでストローク量の多いバイクには【ENDUROチューン】という特別チューンがはじめから施されている。
今回乗っているTRIGGER27.5には【トレイルチューン】されたLEFTYが取り付けられている。
ストローク量は140mm。
LEFTYシリーズの中では中間的な位置にあるチューンになる。
その特徴は、長い時間走るのにストレスの少ない設定になっていると感じる。
①ペダリング時や、ダンシングなど入力のゆっくりした動きでは動かない
②砂利道、握りこぶし大の石が続くような細かで速い入力には敏感に反応する
③大きな入力に対しては初期に「ボフッ!」とストローク中間まで一気に入り、後半にかけて粘ってくれる
【トレイルチューン】に関しては上記に記した内容がバランスよく設定されている。
先に記した【XCチューン】では①の特性が強くなり、逆に【ENDUROチューン】では③の特性が強くなる傾向にあると感じた。
それぞれの特別チューンに関してイメージして頂けただろうか?
また話はズレるが、1番はじめに書いた体重の軽いライダーには【LEFTYの使用感が硬い】と感じる部分について話を戻したいと思う。
たしかに、これまでのというとザックリしすぎてわかりづらいが、初期のLEFTYは使用感が硬いと感じる人が多かったのは事実である。
こうやって書いている自分も体重も軽いし、この【硬い】感覚をうまく解消できないかな〜と様々な事を試して、この調整に多くの時間を費やしてきた。
体重がないために初期の動きが鈍く、動きにくいがために【硬い】とカラダが認識してしまう傾向にあった。
そんな中、この【硬い】感覚が新型のLEFTYシリーズでは大きく改善されていて、ここが大きな進化だと感じている。
それが上に挙げた②の特性で、ここの改善がLEFTYの使用感を格段に向上させたし、体重の軽いライダーでもLEFTYがしっかりと動いている!という感覚を得る大きなポイントになったと感じている。
この②の特性はLEFTYシリーズ全般で大きく改善されている。
構造体として【強い】のはわかる。そして、さらに使用感の向上となればLEFTYを選ばない理由がなくなってくる。
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少しむずかしい話が続いたので一休み。
ヘッドを挟むように設置されているLEFTY。
左にハンドルが切れ込んで転倒してしまったら・・・
フレームを保護する衝撃吸収パッドが装着されています。
ご安心を。
次にどうやってホイールは外すの?
1番一般的な5mmアーレンキーを用いて外します。(LEFTYシリーズ共通)
ハブの右側からアーレンキーを差し込み、ネジが緩む方向に回せばホイールは簡単に外れます。
注意:ホイールを外す前にフロントブレーキキャリパーは外してください。(同様5mmアーレンキーで外れます)
パンク修理はホイールを外さなくてもできる。という噂がありますが・・・
できないことはないですが、ホイールを外してパンク修理した方が5倍は早いです。
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ここまでLEFTYの構造、使用感について話を進めてきました。
次はこのLEFTYの調整方法についてです。
LEFTYの上部先端には赤と青の2つのボタンが付いています。
1つ目の機能として『ロックアウト機能』が備わっています。
これは、乗車したままLEFTYをロック(動かなくすること)&ロック解除(動くすること)できる機能です。
青色のボタンを押すとロック状態になり、赤色のボタンを押すとロックが解除されるようになっています。
LEFTYのロック機能は、主に舗装路を走る時、そして短い登り返しでダンシングしながらパワーをかけるときに使用します。
この機能をうまく使いこなすことで無駄な体力の消耗を抑えることができます。
2つ目の機能。
それはDYADにもありましたが、『リバウンド調整』ができることです。
photo by cyclowired
この機能は写真にあるように赤のボタンを使って調整することができます。
こちらも乗車したまま調整が可能。
左に回すと「FAST」右に回すと「SLOW」で約15クリックあります。
『リバウンド調整』の細かなことに関してはDYADで書いたので省略しますが、自分のLEFTYの調整方法を紹介したいと思います。
まず、自分の場合は赤のボタンを左に回し切ってサスペンションの戻りを1番早い状態にします。(「FAST」全開放)
そこから走りながら「SLOW」側に1クリックづつ回していき、自分の中でバイクがフワフワしない範囲を探ります。
今回のTRIGGER27.5で1番バランスがとれたのは「FAST」全開放から3クリックのところが1番使用感としては気持ちのいいところでした。
この使用感については好みが分かれるところなので、参考にして頂けると幸いです。
次にLEFTYのエア圧調整の方法についてのご紹介。
こちらはLEFTY下部にあるエアバルブを使ってエア圧の調整を行います。
エア圧の調整は使うLEFTYのバネの硬さを決めるようなものなので非常に大切な設定になります。
キャノンデールからそれぞれの体重に合わせた推奨値が公開されていますので、ここに貼り付けます。
こちらもDYAD同様、推奨値前後のエア圧でいろいろと試しましたが、結局のところ推奨値に落ち着く。という推奨値さえ信じていれば間違いなし。という結果になりました。
自分の場合、体重が58kgで自転車に乗る装備を含めるとだいたい61kg。
推奨値でいくと「60Psi」でした。
この値にするとSUPERMAXのすべての領域を使いこなすことができ、キビキビと動かすことができました。
特にLEFTYの場合は「5Psi」変わっただけでも大きな違いになるので日頃からのバイクチェックが大切になってきます。
これでLEFTYの調整方法の説明は終了したいと思います。
最後にライダー達のSUPERMAXに対する映像を見ながらこの回を終了したいと思います。
【Overmauntain Team on the SuperMax】