・個人タイムトライアル(成績:72位)
全長700mのコースをコの字型に走る個人タイムトライアルがツールド熊野1日目に開催。コースが短いのではじめから全開で行くことと、唯一あるコーナーの処理に細心の注意を払いながらスタートの時間を待った。今回はMTB時代にやっていたイメージトレーニングを復活させ、走る前からギア比、走り方、呼吸の使い方すべてを完成させた状態でスタートラインに立った。前半の直線路はイメージ通り走れたが、コーナーを抜けてからの伸びに難ありだった。結果は55秒の72位。トップは50秒台。今回のような単発的な走りではより神経系のトレーニングを重ねる必要を感じた。
・#1赤木川清流ステージ110.6km(成績:37位)
本格的レースのはじまる赤木山ステージ。コースは平坦メインの周回コースで唯一ある狭い上り区間を除けば見通しもよく高速レースが予想されるコースだ。約16kmのコースを7周回するレース。チームのMTGではゴールエリア通過後のコの字型コーナーでの中切れを防ぐために集団前方のキープ策が指示された。チームでは位置取りに優れる澤田選手を中心にレースを展開する狙いだ。自分としては後方に取り残されないように注意すると同時に翌日に向けて大きなダメージを残さない走りを意識してスタートした。ホイールは高速巡航性能に優れるCOSMICカーボンを使用。スタート直後からアタッカーがアタックを繰り返し、ハイペースなまま序盤を消化していった。レース中盤、気を抜いた瞬間に集団前方で中切れが発生。短い下り区間で下りに苦手な選手が中切れを発生させ、その差を埋めることなくドロップ。メイン集団は大きく2つに割れた。自分たちチームメイトは澤田選手を除き後ろに取り残され焦る展開。遅れた自分たちは前に追いつこうと必死に追走をするもまとまりがなくハイスピードを維持できないまま後半戦に突入。同じく後方集団に多くを取り残されたチームNIPPOが強力な追走をかけ最終周にすべてを吸収。集団はリセットされた。最後はスプリント勝負になり自分は集団中ほどでゴール。
・#2熊野山岳109.3km(成績:44位)
唯一の山岳ステージ、熊野山岳ステージがレース3日目に登場。自分としてはここで上位ゴールして総合成績上位を確保したいという思いでスタートラインに立った。今回のコースは大きく分けて3つの山岳があり、千枚田⇒札立峠⇒千枚田という順でコースを周り、すべての峠の下りがリスキーで落車注意という指示が印象に残るコース設定だった。レースは峠の入り口まではアタックの連続で集団はハイペースなまま1回目の千枚田上りに突入していった。ここではアンカーがアタックをし活性化した集団はハイペースを維持したまま頂上を目指していった。自分は決定的な動きと予想できた先頭集団の最後尾でギリギリ上り切り下りに突入していった。ここでかなりの足を消耗したが勝負に絡むためにプッシュを続けて次の峠に向かっていった。2つ目の上り札立峠手前で後方から来た大きな集団が追い付いてきて集団はリセットされ、次の上りにさしかかっていった。自分は「あぁ、追いついてくるのね」と簡単にレースを展開できない事を悟った。札立峠に向けて澤田選手がチーム列車をつくり自分の反対側を上がっていくのを確認できたが、自分の反対サイドだったのでドッキングできないまま登り口に差し掛かった。その時、前方で広報バイクと選手の接触があり落車が発生。集団は完全ストップとなり、先にいく先頭集団を追う展開で上りに入っていった。もちろん全開で差を埋めにいくが、先頭はもちろん速く差を埋めきれないまま頂上を通過。同じ位置で上りきった5名ほどで狭くタイトコーナーの続く札立峠を下っていく。前方を確認すると安全ペースで下るメイン集団が確認できた。そこにはチームメイトの森本選手がいるのが確認できたのでどうしても追いつきたいという気持ちが先行。その瞬間、深いタイトコーナーで曲がり切れずにコースアウト。数秒のロスをしてしまった。先程までの「攻めの下り走行」ができないまま後ろから追いついてきたアンカーの選手と下っていった。その後のアップダウンが続く場所では身体が苦しく、アンカーの選手から遅れをとる形で1人になってしまった。前方は離れていく。後方は全く見えない状況下で「1人旅」を選択。次の千枚田までの上り口までの約15km1人旅になってしまった。そこから後方からきた7,8名の集団に乗り千枚田の上りにさしかかる。身体は厳しかったが前を見ると前方にまとまった集団が見えるのでプッシュしていくが千枚田中ほどで力尽き先程一緒に走っていた集団でゴールを目指した。ゴール手前猛追してきたグルペットに追いつかれる寸前でゴール。すべては札立峠入口の走り方に問題があったとゴール後反省。上位ゴールできるイメージがあるのにできない悔しさがレース後頭を支配した。
#3太地半島周回100km(成績:36位)
港町を使った周回コースでレースが行われる最終ステージ。紙面のコースプロフィールではコース状況が把握できないので、前日夜に車で試走を行いイメージ作りをしながらレース当日を迎えた。自分の印象としては変化の多いアップダウンコースで自然に集団が小さくなっていくと予想。先頭集団はスプリント勝負になるので、大場選手を良い位置で走らせ、自分はその流れにうまく乗ってゴールする事を意識してスタートした。レースは終始総合上位チームがコントロールする中安定したペースで進み、最後の2周回でペースが上がってゴール。チームメイトの大場選手に最後のスプリントを期待したが、メカトラブルによってDNF。
・総括
まずは「完走」できた事で最低限の走りはできたと感じている。しかし、チームの目指すところは「完走」ではなく「勝利」。この「勝利」に向かっていくためのチーム方針の1つである「育成」という点においては自分含め、チーム全体として前進できたと感じる内容だった。何事も経験。自分自身、勝負できるイメージはあるものの、それをどのように結果に結び付けていくかが今回はまだ手探り状態であった。今回得た良い感触をこれからの1つ1つのレースで実践し、1つ1つ自分の自信につなげ「勝利」を掴みたいと思っている。今回は「勝利」に向かっていくのに必要な『自信』という思いがこれまでよりも大きくなったレースとなった。
総合成績44位(13分42分遅れ)