JAPANseries#2 YAWATAHAMA

2012年5月29日


 日本に帰国してすぐのレース。Jシリーズ第2戦八幡浜大会に参戦してきた。自分にとっては昨年からこのレースのために活動してきたと言っても過言ではなく、ここで日本にオリンピックの枠が2つあった時は必ずオリンピックに行くと決めて去年からの日々を過ごしてきた。ただレース直前にオリンピックの国内枠が1枠という決定が下され今回はオリンピック代表選考会のレースではなくなってしまった事はご存知の通りだ。オリンピックに行くのは弟の幸平。悲しいかと聞かれれば悲しいが、『今この時全力で』を合言葉に、ここまで自分にできるベストな体制、ベストな走りをしてきたので少しも後悔はなく、幸平のオリンピックでの豪快な走りを期待している。オリンピックに出場したい!と活動してきた自分にとって、今できる最大限の事は何かと考えた時に、『2枠があったのならば自分がオリンピックに行っていた』という事を証明することだった。これを達成した時、自分のこれまでの活動が完結すると自分の気持ちの中で決める事ができた。そうして決めて走ったレース。結果は幸平に次ぐ2位でゴールする事ができた。自分のベストな走り、力を余すことなく走り気持ち良くゴールする事ができた。最強の山本ブラザーズを証明できた瞬間だった。

レースの世界に『もしも』の事はない。ただ、これが自分のやってきた事を証明する最大限の形なので本当に心の底から喜ぶ事ができた。そして、たくさんの応援団のいる中で自分の力を100%出し切れた事も喜びを倍増させた。
 さて、レースレポートだが、今回は万全のサポート体制の中で走る事ができ、『走る事』だけに集中する事ができた。バイクを3人で見てもらい、ホイールに1人。バイクは試走日に細かな調整を加えてストレスのないバイクに仕上げてもらった。そして、ホイールはテンション調整も含めて極限までトラクション、コーナーリングでのロスを減らすセッティングに調整してもらった。レース当日は暑いくらいの晴天の中でレースが行われた。スタートはイメージ通りに進み、先頭から幸平、星矢選手、若手の園部選手、自分の順でシングルトラックに入っていった。園部選手が中切れを起こすのではないかと見ていたが、落ち着いてしっかりと走っていたのでそのまま後方で流れに乗って走っていった。彼のような走りはワールドカップのエリミネーターに良いと感じた。それから、一度メイン会場に出たところで自分を含む3人が抜けだし、コース後半に入っていった。前走の2人がからみ、自分がトップに立つこともあったが、終始落ち着いて走る事ができた。後半には約3分の長い登り坂があるのだが、登りに強い星矢選手がペースを作る中レースが進んでいった。その後、小野寺選手も合流する形で1周目を終えた。2周目。先行する幸平が下りで転倒し、それに小野寺選手が巻き込まれ転倒。自分はギリギリ回避する事ができたが、レースは完全に振り出し戻った。そこから、幸平の緩急のあるペースに必死に付いていく形で2周目が終了した。3周目。少し離される形で3番手を走っていると、前の小野寺選手が近づいてくるのがわかった。そこからは一気には詰めないで、自分のペースを保つ形で少しずつ詰めていった。4周目。小野寺選手をとらえ、2位のまま4周目は幸平との差を気にしながら自分の走りに徹して走っていった。今回はキャノンデールJAPANからバスをチャーターして大応援団が来ていたので、走りにも力が入った。5周目。スタートゴールラインをくぐる時にMCが『4周目に入りました』というのが聞こえて、自分は一気に不安になって、コース脇の人に『あと何周?』と聞くも誰も答えてくれず、不安なまま5周目を走っていた。この時から、全身が攣りだし、ペダリングに力が入らなくなっていった。今年一番の気温の中でのレース。前半のハイペース。時差による内蔵のダメージがあるのかな。と想像しながら走っていった。6周目。ラストラップを知らせるジャンが鳴り、気持ち的に余裕を取り戻した。しかし、身体が信じられないくらいに攣り、登り坂の度に両足が攣り、深呼吸をして身体を緩める事が精いっぱいだった。そうしているうちにゴールは近づき、最高の喜びと共にゴールラインをくぐる事ができた。レース前に決めた兄弟でのワンツー。達成できたことに気持ちの良い充実感を得る事ができた。そして、今回は3番手に北海道時代から一緒に切磋琢磨してきた小野寺選手が入り、道産子表彰台独占という最高の形でレースを締めくくる事ができた。


 自分にとってオリンピックは夢の舞台。前回の北京オリンピックを生で見た時に単純に『ここで走りたい。』と気持ちに響くものがあった。そこからはじまったチャレンジ。ここまでのチャレンジは決して1人ではできないと実感しているし、この活動に協力してくれた方々に本当に心から感謝している。ロンドンオリンピックに自分が出場できる確率は小さくなってしまったが今回の経験で得た物は多く、この経験をこれからに活かしていきたいと思っている。今回のオリンピックに関して枠は1つだったけど、次のリオデジャネイロオリンピックでは日本に2枠が来ると確信している。経験してきた者だけがわかる確かな手応えを感じている。自分も含め、多くがまとまり次回は2人を日本からオリンピックに出場させたいと思っている。


 ここまでオリンピック出場に向けての応援本当にありがとうございました。これからは全日本チャンピオン、そして、日本国内のシリーズチャンピオンを目指して活動していきたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。


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photo by Mario Stein


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