『贅沢を考える』

2007年5月15日


贅沢。

人それぞれ、思うこと、感じることは違うと思う。

僕にとって、「贅沢」とは、自分のために何かをしてくれた行為自体が「贅沢」だと感じる。

だから、俗にいう「高価な買い物」とか「高級料理」とかはあまりよくわからない。

「贅沢」はいつもなら、そう感じることはない。

感じとれなくなってしまうと思う。

実家を離れて7年目の今年。

24歳の僕だから、18歳で家を出たことになる。

18歳まで、当たり前のようにしてくれていた洗濯や食事の準備は、家を出るまで、その苦労に気がつくことがなかった。

学校に持っていく、お弁当だって、当たり前に思っていた。

それが、自分でやるようになって、その生活がどれだけ「贅沢」だったか認識するようになった。

なぜ、実家から遠く離れた地で生活しているのかを自覚しなければいけない。

キャノンデールのチームに入って、5年目に突入している。

24歳の僕だから、20歳でチーム入りした事になる。

長いようで短かった時間である。

20歳までは、レース前にタイヤ交換だって自分でやってたし、メンテナンスだって自分でやっていた。

ウォーミングアップオイルだって自分で塗っていた。

それが、今ではほとんどすべてのことを、チームスタッフにお願いしている。

なぜ、そこまでしてくれるのかを考えなければいけない。

八王子に引っ越してきて、5ヶ月になる。

去年の12月に引っ越してきたから、あと少しで半年になる。

ここでは、まだ少ないが少しづつ自転車関係以外の知人ができてきた。

近所付き合いや、普段の生活の中でのやり取りのなかで。

そんな知人から、今日は「トンカツ屋さん」を教えてもらった。

そして、そこで自分のためだけに揚げてくれている「ロースカツ」と「メンチカツ」を見たとき、「贅沢」だと感じた。

スーパーなどで売っている「カツ」は、揚げているヒトに「この人のため。」という思いはないと思う。

あっても、「食べる人がおいしく感じるように。」程度だと思う。

でも、今日は違った。

揚げている人と会話をしながら、出来上がりを待つことが出来たのである。

その出来上がりは、スーパーで売っているものとは比べ物にならないくらいに輝いていた。


この「ロースカツ」と「メンチカツ」は、とてもおいしかった。

「おいしい。」という形となって僕を満たしてくれた。

今度、お店に顔を出してみよう。

キャノンデールのライダーとして走っている僕。

「今の目標。」をしっかり形にして、スタッフにプレゼントしたい。

できたら、うれしい。

実家の北海道を離れ、選手生活をしている僕。

1番のファンに恩返しをしたい。

できたら、「ジンギスカンパーティー」をしたい。

「贅沢」の裏には、「大きな喜び」があるから、「贅沢」なんだと思う。

今の状況が永久不変でないことはわかっているので、気を引き締めていこう。


今日の「ロースカツ」は、冷めないうちに家に帰って、すぐに食べたのさ。

「贅沢だった。」



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